要旨 理化学研究所(理研)倉谷形態進化研究室の倉谷滋主任研究員、兵庫医科大学教養部門生物学の菅原文昭講師(理研倉谷形態進化研究室客員研究員)らの共同研究グループ※は、顎(あご)を持たない脊椎動物「円口類」に属するヌタウナギ[1]とヤツメウナギ[2]の脳の発生過程を観察し、これらの動物では見つかっていなかった脳の中の2領域を新たに発見しました。これにより、段階的に進化してきたと考えられてきた脳の各領域のほとんどが、5億年以上前にすでに成立していたことを明らかにしました。 脳は細かく領域化された複雑な器官ですが、各領域が進化の過程でいつ獲得されたのかについては、未解明な点が多く残されています。現在、地球上に生息する脊椎動物の中で最初に分岐したのは、顎を持たない「円口類」と呼ばれる動物群です。円口類と、ヒトのように顎を持つ「顎口(がっこう)類」との比較により、脊椎動物の脳の初期進化を解明できると