このブログでも何度かご紹介している一般向け科学読み物「梅雨前線の正体(東京堂出版)」について、今日は執筆過程の一つとして「一般向けに分かり易く書く難しさ」についてお話します。 実は,本の執筆を始めた当初,私は,梅雨前線の研究についてどのような整理の仕方や解説の仕方をすれば「一般向けに分かり易い」のか,全く見通しを持てずに途方に暮れてしまっていました.私が生まれる前から何十年も行われてきた膨大な研究の知見を前に,力が入りすぎてしまっていたのです. 一般的に言われていること,ちょっと踏み込んだ話,最先端の研究の現状,どれについてもそれぞれ一冊になるほど多くの知見があり,課題も山のように残されています.しかし,詳しく書き過ぎれば途中で疲れてしまう人の顔が浮かび,あまり表面的な記述だけになっても物足りなさを感じる人の顔が浮かびました.「一般向けに易しく解説」と思って色々と書いてみるのですが,自分の