最も自分に近しい人が、突然いなくなる。 予測していないことが、当然のことのように起こることに筆者は戸惑う。 事実に対する違和感からこの世のことと受け止められない感情と、喪失感が混ぜ合わさった、妻を亡くした風景を切り取った、悲痛でいて、客観的にななめ上から自分を観察しているようなクールさがどこかにあるような、不思議な力のある作品。
![『さよならもいわずに (ビームコミックス)』(上野顕太郎)の感想(184レビュー) - ブクログ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b7e93afdba6ba69e8886135c3a6de92f529758af/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51TOA3Iq5aL._SL500_.jpg)
最も自分に近しい人が、突然いなくなる。 予測していないことが、当然のことのように起こることに筆者は戸惑う。 事実に対する違和感からこの世のことと受け止められない感情と、喪失感が混ぜ合わさった、妻を亡くした風景を切り取った、悲痛でいて、客観的にななめ上から自分を観察しているようなクールさがどこかにあるような、不思議な力のある作品。
「コミックビーム」(エンターブレイン)5月号で、上野顕太郎『さよならもいわずに』が最終回を迎えた。ウツだった奥さんが突然亡くなって、娘と二人になった漫画家の、圧倒的な悲しみと喪失感を訥々と語った異色作である。考えられた演出、緻密に描かれた絵、画像の配置、選ばれたセリフや内語・・・・・、重苦しく逃げ場のない主題から一切逃げないという作者の姿勢がひしひしと伝わる。これを描ききらねばならない、という必死の思いも。 悲しみや喪失感といったネガティブな主題ばかり追うマンガは、近年とみに読みたくなくなっていた僕だが、この作品は違った。読みたい、というより、ただ引き込まれる。何と言うか、「悲しみ」を作るフィクションの意図ではなく、あまりに圧倒的な「悲しみ」であるために、一種離人症的なほどの視点、透明でニュートラルな距離感が感じられる。そのため読者もまたじっと佇んだまま時間のない状態に近い印象で読んでしま
少し前に、上野顕太郎さんの新作『さよならもいわずに』を読みました。 さよならもいわずに (ビームコミックス) 作者: 上野顕太郎出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2010/07/24メディア: コミック購入: 24人 クリック: 450回この商品を含むブログ (121件) を見る 自らの体験をマンガにした作品には名作が少なくありません。パッと思い付くものでも、花輪和一『刑務所の中』、吾妻ひでお『失踪日記』、小林まこと『青春少年マガジン』、卯月妙子『実録企画モノ』等を挙げることができます。 刑務所の中 作者: 花輪和一出版社/メーカー: 青林工芸舎発売日: 2000/07メディア: コミック購入: 3人 クリック: 112回この商品を含むブログ (157件) を見る失踪日記 作者: 吾妻ひでお出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2005/03/01メディア: コミック購
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