六角さんを含む西荻フォーラムのメンバーにとっては多くの思い出がある。西荻フォーラムとは一見知的なグループに聞こえるが、野武士と呼ばれた1941年生まれのアトリエ派の建築家、すなわち六角鬼丈、松永安光、伊東豊雄、長谷川逸子、早川邦彦など皆中央線沿線に住んでいる建築家を中心とした単なる飲み会。その他年齢は下になるが、磯崎新アトリエの故・藤江秀一、山本理顕、故・石井和紘、淵上などは足軽的存在だった。 ある時新建築時代からよく知っていた松永さんから、「みんな中央線を使っているから中央線飲み会でもやろう、ついては淵上さん幹事役を頼みます」ときた。野武士から足軽への命令だから「ははっ!」と承った。この会では世間話や建築界に対する不平不満の言い放題。酒の上でやるから激しい。暑気払いと忘年会を毎年、西荻窪駅を中心にやっていた。六角さんは西荻窪の南側、僕は北側に住んでいた。 ある時西荻窪駅北側の店で飲み会を