数年前に東京都庁ビルの隣にある新宿中央公園でホームレスに話を聞いていた。新宿中央公園はかつては、ズラリとテント村が並んでいる場所だったが、管理が厳しくなって、現在はテントは立っていない。ただ、炊き出しは継続されていたため、ベンチなどにはチラホラとホームレスが座っていた。 60歳前後の男性に話しかけてみる。身なりは比較的キレイだ。憂鬱そうな顔で、 「チンチンに管が刺さってて、四六時中気になってすごくつらいよ」 と言われた。 意味を理解できなくて、思わず 「どういうことですか?」 と聞きかえす。 男性はヤレヤレといった表情で片手に持っているバックを開けて、中からしっかりとしたビニール製の袋を取り出した。 それは、医療用の尿パックだった。 「これの管の先が、尿道に突き刺さってるんだよ」 と言うと、服をめくった。彼のお腹には、かなり大きい手術の跡があった。まだ治りきっていなくて、なまなましい。 ど