「どうしてこんなことを……」認知症患者の言動に、介護する家族は思い悩み、戸惑いがちだ。そんなときには、彼らの心の中を想像してみよう。患者の側にも恐怖、不安、憤り、悲しみがきっとある。それを察することで、いつもより少しだけ、優しくなれるかもしれない。 認知症患者の“心のうち”を描く 今年4月に刊行された書籍『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』(竹書房)は“認知症を患った人たちにとって世界はどのように見えているか”を描いた作品だ。 シリーズ前作の『消えていく家族の顔 ~現役ヘルパーが描く認知症患者の生活~』も、認知症家族の間で大いに話題となった。いずれも現役ヘルパーである漫画家、吉田美紀子さんの体験に基づき、認知症患者の“心のうち”を描いた短編漫画集である。 介護中の家族が、認知症を患った家族の症状にショックを受けることは多い。 「長年、共に暮らしてきた家族なのに、顔を忘れら