ベルギーのアントワープはヨーロッパ第2の港街である。世界最大級のダイヤモンド街を有し、ベルギーの商業の中心であるのと同時に多くの美術館(右図 現代美術館 MuHKA)が存在する芸術の街でもある。このような特徴のある街で私が最も注目するのは、今回の研究テーマであるモード(ファッション)の発信地としてのアントワープである。アントワープのモードシーンをサポートし、その魅力を高め、世界の舞台へと導いているものとは何なのだろうか。 私はアントワープでの研究拠点をモードナシー(Modenatie)に置いた。モードナシーは、アントワープの中心街ドゥルケライストラートとナショナルストラートの角にあるファッションの殿堂であり、2001年に開設された。真っ白な外壁はシンプルで装飾が施されていない。にもかかわらずそれが私にとってとても印象的なのは、待ちに待って訪れることのできた特別な場所であるからだろう(左図)