室町時代の小歌《こうた》集『閑吟集《かんぎんしゅう》』と『宗安小歌集《そうあんこうたしゅう》』を聴きとってきました。出典は、『新潮日本古典集成 閑吟集 宗安小歌集』の北川忠彦による訳文と解説「室町小歌の世界―俗と雅の交錯」です。 最終の今回は、出典の「うき世賛歌」の章に描き出された、室町小歌を生みだした時代・世相と歌い踊った人たちの心をみつめ考えます。 『閑吟集』で最も有名なよく引用される小歌は、おそらく次のものです。 何《なに》せうぞ、くすんで、一期《いちご》は夢よ、ただ狂へ (55) 【訳】どうする気だい、まじめくさって。所詮《しょせん》人生は夢よ。遊び狂え、舞い狂え。 それまでの時代の詩歌、歌謡にはなかった、あたらしく、とても強い響き心に残る言葉だと感じます。このような鮮明な変化、なかった声が生まれ出た背景には、大きな時代、社会の変動、生活、生き方の変化があったのだと思います。 私に