出典の2冊の短歌アンソロジーの花束から、個性が心に響いてきた歌人について好きだと感じた歌の花を数首ずつ、私が感じとれた言葉を添えて咲かせています。生涯をかけて歌ったなかからほんの数首ですが、心の歌を香らせる歌人を私は敬愛し、歌の美しい魅力が伝わってほしいと願っています。 出典に従い基本的には生年順です。どちらの出典からとったかは◆印で示します。名前の前●は女性、■は男性です。 ● 阿木津英(あきつ・えい、1950年・昭和25年福岡県生まれ)。 ああああと声に出して追い払うさびしさはタイル磨きながらに ◆『紫木蓮まで・風舌』1980年・昭和55年 柿の木のうちの力が朱に噴きて結びたりけるこずえこずえに ◆『天の鴉片』1983年・昭和58年 ◎一首目は、日常のなかでの心模様を吐露する歌。「さびしさはタイル磨きながらに」「ああああと声に出して追い払う」と置き換えると限りなく散文に近づくことか