『遺愛集』島秋人著(1967年、東京美術)から、私の心に特に強く響いた歌を30首紹介させて頂きます。 当初数首から多くて10首の紹介を考えましたが、これ以上削れませんでした。生きることへのあふれだした思い、愛(かな)しみと愛(いと)しさと祈りが織り込められた歌に、心をうたれます。 *出典は、上記の新装版で、歌集は1960年(昭和35年)から処刑執行の1967年(昭和42年)まで時系列に編まれています。同著には手紙も編み込まれていて、彼の被害者と被害者の関係者への偽りのない贖罪の心と、彼を見守る優しい人たちとの心の交感が伝わってきます。 *歌の掲載されたページを参考のため歌の前に記しました。 028 たまはりし処刑日までのいのちなり心素直に生きねばならぬ 028 被害者に詫ぶべき言葉なき文を綴りては捨て処刑待つのみ 036 賜りしお盆の花はわづかなる陽の射す方にみな向きて活く 042 わが罪