中世の歌謡、今様の花園『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』を感じとろうとしています。 この歌謡集はおおきく、中世の民衆の心の咲き匂う園である「四句神歌(しくのかみうた)の雑(ぞう)」と、中世信仰の園である 「法文歌(ほうもんのうた)」にわかれています。どちらも心の豊かな深みからの歌声の魅力を、異なった表情で湛えています。まず今回は、「四句神歌(しくのかみうた)の雑(ぞう)」を聴きとります。 「四句神歌・雑」の歌謡のいちばんの魅力は、出典に記されているように、「種々の生業を営む民衆の姿が活写されている」こと、彼らが心から共感した思いが歌われていることです。時を越えて、ふしは失われたけれども、私にも肉声が聞こえてきて、その情感に心が揺り動かされます。 男女の愛情の歌も、和歌では言葉にしないところまで、声に出し歌ってしまう、飾らない表現が私は好きです。 俗にどっぷり溺れすぎると、表現はいやらしさに