私は詩は感動だと思っています。喜び、悲しみに、心を打たれ、言葉と共に心ふるわせ生きる時間だと思っています。愛しあう喜びの歌が心から好きですが、いのちのありのままの顔かたちをみつめる歌にも心ふるえます。 私が創作に生きようと思い定めながら苦しく彷徨っていた時、私にとっての導きの星は、原民喜の『鎮魂歌』でした。彼のこの作品は、ふつう思われている小説の形、詩の形からもはみ出しているけれど、私にとって今も、20世紀に日本語で書かれた最も好きな詩、感動した作品です。あの頃は『鎮魂歌』を書きあげたいとだけ願っていました。そしてドストエフスキーになることが夢でした。だから初めての文学作品は(小説新人賞に応募して没になりましたが)小説とも詩とも言えないものでした。その頃から、願う作品の形はあまり変わっていないことを書きたいと思います。 日本語の歌、詩として、和歌が好きだけれど、三十一文字に込めきれない想い