今年は久しぶりにUPA※のカンファレンスに参加したのだが、その中の「ヒューリスティック評価法の使用と乱用(原題: Heuristic Evaluation: Use and Abuse)」というセッションには、ヒューリスティック評価法の開発者であるJakob NielsenとRolf Molichがパネリストとして登壇していた。ヒューリスティック評価法の現状を知るにはちょうどいい内容だと思われた。 しかし、Molichはいきなり意見表明で「(現状の)ヒューリスティック評価法の99%はよくないものだ」と切り出したのだった。もちろんこれは冗談だが、会場にどよめきが走った。彼の論旨は明快で、「ヒューリスティック評価法は有名な10のガイドラインに沿って評価を行う手法であり、必ずしもユーザビリティ専門家が行うものではない。一方で、一般にヒューリスティック評価法とされているものはユーザビリティ専門家が