そろそろ書けそうになってきたので、滞っていた更新を再開する。こんな状況の繰り返しで甚だ恐縮だが、引き続きお付き合いいただければ幸いである。ひとまずリハビリも兼ねて、渡辺聡氏に「読み手は選ぶがおもしろい」とご紹介いただいた高城剛氏の「ヤバいぜっ!デジタル日本」の書評を書いてみよう。 率直に言って、確かに読み手を選ぶ。というのは、高城氏独特の文体(論旨の一貫性よりも全体の流れを重視すること、および断定的な物言い)にクセがあるのと、記述されている内容の正確性や濃淡がバラバラなのである。平たく言えば、各論ではツッコミどころが満載である。特に第1章のあたりは要注意で、記述されている分野に明るくない方は、少なくとも情報としては眉唾が必要だ。 にもかかわらず総論としては極めて真っ当だ。それは、本書の全体を通じて指摘されているいくつかの論点が、現在の日本の情報通信サービス産業の課題を浮き彫りにしているから