〈よく雑誌の特集などで「いくらあったら海外で生活できるか?」というのがあるが、そう考えた時点でもうすでにアウトなのだ〉 日本人は、「お金」と「幸福」を結びつけがちだが、そんな考えでは海外で楽しく暮らすなんてことは無理だと著者はいう。 そういえば、日本でお金を貯め、「第二の人生」を東南アジアのリゾート地で過ごしている夫婦をテレビで見たときのこと。悠々自適と紹介されるのだが、夫人はブランド・ショッピングや現地の日本人コミュニティとの交流に忙しい。のんびりとした現地の人たちの中では異様に映るのだが、ご夫人、まったく気付いていない。 情報番組での「こんな老後もありますよ」的なガイドだったが、暮らしぶりの優雅さに比して、日々ヒマをもてあまし、強迫観念に駆られたように何かに興じようとする姿はいささかも楽しげではなく、二人して若々しさを演ずることに疲れているかのようでもあった。スタジオのコメンテーターた