電通の違法長時間労働の問題が、経営トップの引責辞任に発展した。28日の記者会見で辞任を表明した石井直(ただし)社長は、「働き方すべてについて見直していく」と労働環境の改善継続を強調したが、問題の背景となった企業風土を抜本的に改めるのは簡単ではない。 電通社員で昨年12月25日に過労自殺した高橋まつりさん(当時24)の労災が認定された今年9月以降、石井社長がこの問題で記者会見するのは初めて。石井社長は「遺族に対する謝罪を最優先させて(記者会見を)決めた」と説明。対応が遅れた認識は「ない」とした。 電通は、高橋さんの自殺について、外部の法律事務所に調査を依頼したことも明らかにした。中本祥一副社長はその結果について、「彼女の人権を侵害することはなかった」としながらも、「長時間労働に加え、パワハラとの指摘も否定できない行き過ぎた指導があった」と説明。「心情や不安を思いやる想像力やサポートが足りなか