ハワイのオアフ島とカウアイ島に生息するオスのコオロギたちは、10年前から不思議と沈黙するようになった。今回、その理由が研究で明らかとなった。 原因は、オスのコオロギの鳴き声に引き寄せられる寄生バエの一種(学名:Ormia ochracea)だった。ハワイでは比較的新しい種類のハエである。スコットランドにあるセントアンドリューズ大学の進化生物学者で研究を率いたネイサン・ベイリー(Nathan Bailey)氏は、ハエの到来後、二つの島のコオロギの翅に遺伝子変異が生じ、鳴く能力が失われたとしている。沈黙を守ることで、ハエのディナーと化すのを防いでいるのだ。 「Current Biology」誌オンライン版に5月29日付けで掲載された今回の研究によると、この変異はオアフ島とカウアイ島でそれぞれほぼ同時期に生じたもので、結果として珍しい急速な収斂進化が起きたという。 「このような現象を現地で