5月の裁判員制度の施行を控え、知的障害者の刑事手続きをめぐり、健常者に比べて不利益を被らないよう理解と配慮を求める声が障害者支援団体などで強まっている。取調官の誘導に乗りやすいなどの「障害特性」があるからだ。法曹界に加え、裁判員を担う国民の誤解や偏見の解消も大きな課題だ。 (大西隆) 「知的障害者は『こうですね』と念を押されると、『はい』と肯定してしまう傾向が強い。取調官に迎合したり誘導されたりしやすい」。知的障害者の家族らでつくる全日本手をつなぐ育成会(東京)の大久保常明・常務理事は、障害特性の一端をそう説明する。 千葉県東金市の女児殺害事件では知的障害のある容疑者が逮捕され、地元の障害者支援団体が一月、障害特性に配慮して一問一答形式の取り調べと全過程の録音・録画を捜査当局に求めた。都内のホームレス連続殺傷事件の容疑者も知的障害者とされ、捜査の在り方が憂慮されている。 裁判員裁判では、裁