例えば、スポーツ界で『天才』と呼ばれる者は今昔を通じ数多であろう。 “アイツは天才だ”ーーこう呼ばれる事は一般的には最大の賛辞であろうし、皆はそれに疑いもないーー俺も殿と出会う事がなければ、同じような感覚だったろう。 ーー俺が専任ボーヤだった1985年〜1986年のフライデー襲撃事件が起こる前まで、おそらく殿が人生で最も多忙な時期であった。 年末から年始のテレビ番組表を眺めると特番の同じ時間帯の各局に「ビートたけし」の名があり、出演番組がアミダでつながっている。 裏っ側では出演が終わるやTV局間を急いで移動する。しかし同じ局の次の別番組への移動(戻る)もあり、それが未明まで繰り返される。 そして翌日最初の出演は朝の6時からと寝る時間はほぼない。殿を送迎するボーヤはそれ以上に寝る時間はなく、菊池さんは車で眠る。そんな時間を共有するうちに3人はさながら「戦友」の感覚が生じていた。 やがてバブル
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