「ねぇ、『東京タワー』って読んだ?」 久しぶりに会った友人に聞かれた。 もちろん、あのリリー・フランキー著『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(扶桑社)(以下『東京タワー』)のことだ。江國香織著の同名の有名作品もあるが、今『東京タワー』といわれてイメージするのはこちらの作品ではないでしょうか。まだ読んでいない私は、すごく感動したという友人と一緒になって盛り上がることができなかったのだが、このとき“ベストセラー”について考えた。 「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本、2006年本屋大賞」 にも選ばれ、発行部数100万部を超えたといわれている『東京タワー』。ドラマ化も決定し、ゴールデンウィーク中の東京タワー観光客数にまで影響を及ぼしたというし、まさに社会現象となっている。本を作る仕事に携わっている自分にとっては、 夢のまた夢。たくさん売れてうらやましいな〜と羨望のまなざしでみ