秩父の道の駅に立ち寄った際、視界の端に気になるものが飛び込んできたので、フラフラと近づいてみた。それは「純粋橋」と言っても差し支えないトマソン物件だった。もちろん、一見してかつて鉄道を跨いでいたのだろうことは推測できたのだが、見れば見るほどときめいてくるのだ。 そもそも橋というものは、障害となるなにかを跨ぐものであるが、この橋は何も跨いでいない。純粋に路面を宙に浮かせているだけである。しかも、その側面にある階段は、その上に作られた斜路によって完全に無用の長物と化している。そればかりか、自転車や歩行者はなにも障害がない地面の上を悠々と通ることができるため、無駄な位置エネルギーの浪費を要求するこの斜路を通る者はまずいないだろう。 実際にこの橋の上の歩道からは、秩父駅に接続していたのであろう二股に分かれた線路敷跡が残されていた。武甲山から生み出される石灰石を使ったセメント関連の工場と結ばれて、な
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