中長期的に見ると、中国社会の安定を妨げる最大の要因は、日増しに拡大する所得格差と増幅する不公平感にある。 経済成長段階においては、低所得層は将来への希望に燃え、よほど窮地に追い込まれない限り暴力的な行為など極端な行動に出ることは少ない。しかし近年、中国では集団的な暴動事件が多発している。その背景に、低所得層の将来への失望がある。 一言で「格差」と言っても、中国社会のそれは単なる低所得層と富裕層の所得格差という単純なものではない。そもそも、13億人が暮らす中国では、市場競争は国民一人ひとりのスタートラインが異なるため、最初から不公平なものになっている。そのうえ、市場競争の弱者をケアする制度も整備されていないため、社会の不公平感がいっそう強まっている。 都市部と農村部、実際の所得の開きは約10倍? 現在の中国社会は大きく言えば都市と農村からなる二元化した社会である。しかし、都市と農村の格差がど