≪日本人が消えた?≫ 今年2月から3月にかけて、シンガポールで在留日本人が激減したという話が広まった。昨年からの金融危機の影響で、日系企業が相次いで撤退を決め、社員・家族が一斉に引き揚げたのだという。 3月中は引っ越し業者の予約がいっぱいでとれないとか、日本人学校の生徒が250人減ったとか、さまざまなうわさが飛び交い、ついには、在留届を出している約2万5000人の邦人のうち、「5000人が帰った」「いや、7000人だ」などと、どこに行っても、この話でもちきりだった。 ところが、調べてみると、根拠となるデータが見つからない。シンガポール政府は、もともとこうした数字を公開しておらず、入管当局に聞いても、「お答えできません」とにべもない。5000人が減ったと“断言”した人に改めて尋ねると、「え? みんな言ってますよ。違うんですか」。うわさがいつのまにか事実のように語られる都市伝説のようだった。