去る7月8日、中国の胡錦濤国家主席はイタリア・ラクイラでの主要国首脳会議をドタキャンして急遽(きゅうきょ)帰国した。その理由について、私も翌日の産経新聞紙上で分析を試みたが、真相は依然、謎のままである。唯一言えるのは、新疆で起きた暴動事件への対応のため、国家元首の胡主席が、中国の存在感の顕示に絶好の機会であるサミットへの参加を断念して、急いで家路に就かなければならなかった、ということである。 そのことは逆に、新疆での出来事は、北京政府にとって大変な危機であったことを示唆している。実は去年の2008年にも、北京は同じような危機を経験した。チベット騒乱である。それが原因で、中国政府が自国のアピールのために画策した世界規模の「聖火リレー」が至るところでボイコットの嵐に遭遇し、北京五輪の開催すら一時、危うくなったのである。 2年連続で起きたこの2つの危機は、チベット人とウイグル人に対する中国の「植