排出権取引(排出量取引とも呼ばれる)に対して「現代の免罪符」、「悪をお金で買う」、「欧米金融機関のマネーゲーム」といった反応をする人々が多い。こうした反応の多くは排出権の仕組みに対する先入感や誤解から来ている。また「排出権に頼らず自国の温室効果ガス削減努力をすべき」という主張はもっともだが、排出権取引を全面的に排除するというのであれば疑問符が付く。 排出権取引の現場は苦労話のオンパレード そもそも排出権はどこから生じているのか? その多くは、発展途上国における様々な温室効果ガス削減事業によって産み出されている。例を挙げると、中国における風力発電事業、マレーシアにおけるパーム椰子房を利用した発電事業、インドのアンモニア製造プラント改良による蒸気消費量削減事業、ブラジルのゴミ処分場のメタンガス回収・発電事業、韓国の硝酸工場のN2O(亜酸化窒素)破壊事業、ベトナムの油田の随伴ガス回収事業といった