ベトナムにとってソ連は激動の現代史を通じて常に最大の後ろ盾だった。そのソ連の崩壊に伴って強固な絆(きずな)は断たれ、後身のロシアの存在感は見る影もない。しかし最近、そのロシアに復活の兆しが見え始めた。背景にあるのは伸びる中国の影である。 今年はベトナムの国父、ホー・チ・ミンが死去して40周年になる。それを記念して5月末にモスクワである式典が開かれた。ホー・チ・ミンの遺体保存に協力したソ連(当時)の科学者らにベトナム大使館が勲章を授与したのだ。 ホー・チ・ミンは遺書の中で死後は火葬するよう求めたが、共産党指導部はソ連の技術を使って遺体を永久保存する道を選んだ。ロシアの専門家による助言は現在まで続き、遺体は今もハノイの廟に眠っている。 ベトナムで報じられるロシアといえば、最近はこうした過去の蜜月時代の残映ばかりだ。現在も続く重要な協力事業といえば、ベトナムで原油生産を最初に手がけ、今も主役であ