「設備の設計図と化学式をいただければ10万ドル(およそ1300万円)払います。あなたの経験と知識を求めているんです」 エンジニアに機密情報の漏えいをそそのかす2人の中国人。これはアメリカのFBI=連邦捜査局が実際のスパイ事件をもとに作成した動画のワンシーンだ。 まるで映画の世界だが、実は日本も無関係ではない。外国の“スパイ”などによって先端技術が狙われる事件がここ数年、相次いでいるのだ。 その舞台は工場でもオフィスでもなく、東京・新橋の飲み屋街。日本でいったい何が起きているのか、取材した。(経済安全保障 取材班) JR新橋駅前。 路地裏や高架下に至るまで飲食店がひしめき合っている。 官庁街やオフィス街からも程近く、仕事帰りのサラリーマンの「聖地」として知られるエリアだ。 この場所をきっかけに、大企業の通信設備に関する機密情報が流出する事件がおととし、発覚した。 通信大手・ソフトバンクの元社