本格ミステリー小説の醍醐味はやはり〈密室〉にあるように、本格のSM小説にかかせないものは〈鞭〉だろう。――蘭光生『SM博物館』 変態本格とは単に変態が登場する本格ミステリではなく、本格ミステリの醍醐味であるトリックやどんでん返しに変態性が深く関係している作品を指す。したがって、サイコスリラー風味の本格ミステリ(アルテ『虎の首』)、変態度は高いが本格味が薄い作品(乱歩『盲獣』)は残念ながら本稿では扱わない。 ○ジャック・カーリイ『百番目の男』(文春文庫) 百番目の男 (文春文庫) 作者: ジャックカーリイ,Jack Kerley,三角和代出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/04/08メディア: 文庫 クリック: 23回この商品を含むブログ (61件) を見る 良くも悪くも処女作で、文章は生硬、プロットはぎくしゃくし、達者とはいいがたい。そんな若書きが日本での評価を決定づけたのは、