前回は,ファイル・システムの概要とLinuxのファイル・システム機構について解説しました。アプリケーションなどで作成したデータはハード・ディスクなどの記録媒体にファイルとして保存しますが,実際にはファイルの形ではなく,データ・ブロックの形式に変換されて記録されます。この変換を行うのがカーネルのファイル・システム機構です。データ変換方式の違いにより,さまざまなファイル・システムが存在します。 Linuxのファイル・システム機構は,図1のように階層化されています。VFS(Virtual File System)というレイヤーを用意することで,さまざまな種類のファイル・システムを統一的に利用できるよう工夫されているのが特徴です。各ファイル・システム特有の処理は,「ローカル・ファイル・システム」と呼ばれる部分が担当します。 図1●ファイル・システムとは何か ファイルという人間が扱いやすいデータ形式