東京・東池袋の人気ラーメン店「大勝軒」の創業者、山岸一雄氏が心不全のため4月1日、東京都内の病院で死去した。享年80歳。 彼が1955年にメニューに加えた「特製もりそば」は、つけ麺の元祖。日本そばのような食べ方と独特のおいしさがすぐに評判を呼び、大勝軒はわが国初の“行列のできるラーメン店”となった。 ただ、繁盛店となったのは、味だけが理由ではない。山岸氏の優しい人柄も大勝軒に欠かせない魅力だった。同店を30年以上前から訪れているラーメン評論家の大崎裕史氏が往時の思い出を語る。 「お会計の時に『ありがとね』と言いながら浮かべる笑顔が、なんともすてきでした。私も山岸さんのあの顔が見たくて通ったひとりです」 さらには、こんなちゃめっ気もあった。 「その日の行列の最初の16人までに並ぶと、開店と同時に入店できるのですが、彼らへの麺の中には、頼んでもいないギョーザやチャーシューが隠されてい