故郷に錦を飾りはした。亀田興が出身地の大阪で初めての世界戦を戦い、世界戦では初となるKO勝利を収めた。「KOで勝つとうれしい。大阪、サイコー」とリングで声を張り上げた。 だが、手放しでほめていいものか。挑戦者のディアスは、2007年に北米の地域王者になったのがキャリアの最高峰。10回戦しか経験していないうえ、1年余りのブランク後の試合が初の世界戦だった。14位という下位からの抜擢(ばってき)に、試合前の会見では4度も「挑戦の機会を与えてくれたことを感謝する」と繰り返し、タナボタの世界挑戦を喜んでいた。 実際、スピードもパンチも世界レベルとは言い難く、技術も凡庸。初回から亀田興の左が簡単に当たり、8回に左を食らってダウンすると、11回終了後、コーナーから出てこなかった。 長身でやりにくい相手ではあったが、KO勝ちは「3階級王者」なら当然といった相手。勝てる相手を見つけるマッチメークのうまさは