「口裂け女」といえば、日本における都市伝説の代表格だ。 1979年の流行当時は、全国の小中学生を恐怖のどん底に落とし、パトカーが出動するなどの社会問題にまで発展した。 長年に渡って日本中を震え上がらせていたと思われがちな口裂け女だが、本格的に流行った期間は半年ほどと意外に短い。 '79年のうちには、ただの噂だという認識も共有され、騒ぎは沈静化していった。 さすが都市伝説の元祖といおうか、噂のバリエーションが非常に多いのも特徴だった。 「ポマードに弱い」「べっこう飴を与えれば逃げられる」「実は三姉妹だ」など、 さまざまな要素が彼女の周りに付け足されていく。 呪物対抗や"3"というマジックナンバーは、昔話や神話でもお馴染みで、文化人類学、民族学的にみれば特に珍しいものではない。 ただ、「口裂け女現象」が終息した後に加わったある要素は、一風変わっていた。 「口裂け女は、真っ赤なスポーツカーに乗っ