第2次世界大戦が勃発した時、ジョン・テンプルトン卿はある賢明な賭けを行った。同氏は、世界有数の資産運用会社であるフランクリン・テンプルトンの創立者の1人だ。投資のための絶好のタイミングは「悲観論が頂点に達した時」との信念を抱いて、ニューヨーク株式市場に上場されている銘柄のうち、株価が1ドル以下だった全銘柄の株を買ったのだ。その中には破産状態にあった34銘柄も含まれていた。1945年に戦争がようやく終結した時、テンプルトン氏はそれらの銘柄を売却し、400%の売却益を得た。 そんなテンプルトン氏の理念を引き継いでいるのが、マイケル・ハッセンスタブ氏だ。現在、フランクリン・テンプルトンで1900億ドル(約22兆5360億円)に上る国債の運用を担っている。同氏の口調は穏やかだ。落ち着いており、人前にもあまり出たがらない。「債券王」と呼ばれるビル・グロス 氏とは対照的な人物である。だが、運用成績では