2014年03月09日00:29 カテゴリ本 ジェントルマン資本主義の帝国 本の原稿をかねてメモ。イギリスについての最近の数量経済史による研究は、マルクス以来の「産業資本主義の祖国」というイメージを変えつつある。 本書の推計によれば、1860~79年のイギリスの非農業部門のGDPのうち製造業は36.7%で、金融が32.5%、商業が23.5%だった。この比率は19世紀を通じてほとんど変わらず、20世紀には製造業の比率は10%台まで低下した。「産業資本主義」を製造業の比重がサービス業より高い資本主義と定義すれば、イギリスは一度も産業資本主義だったことはなく、その主役は大地主や銀行家などのジェントルマンだった。 教科書では「インドから輸入した綿花をイギリスで綿織物に加工して輸出した」と教えるが、これも逆である。綿織物はインドからの輸入品で、イギリスはその中継貿易で利益を上げた。18世紀なかばには