国連教育科学文化機関(ユネスコ)は25日、福岡県飯塚市出身の絵師、山本作兵衛(1892~1984年)の炭鉱記録画や日記などを「世界記憶遺産」に登録すると発表した。日本人の作品が選ばれたのは初めて。 山本作兵衛は、福岡県中央部の筑豊地方のあちこちの炭鉱で働き、石炭産業にかげりが見え始めた昭和30年代、子や孫の代にも「ヤマ(炭鉱)の姿を伝えたい」と絵筆を執った。自ら体験した炭鉱の様子や労働者の生活を絵画や文章で記録した。主な作品に画文集「炭鉱に生きる」などがある。 九州の炭鉱は「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録を目指す動きの中で注目度が増しており、山本作品の多くを保管する福岡県田川市が昨年3月、絵図や日記、雑記帳など約700点をユネスコに登録申請していた。