プロの作家や批評家が編集した同人誌やミニコミ誌の発刊が相次いでいる。商業誌では収容しづらい長文を一挙掲載したり、凝った装丁で読者の目を楽しませたり。アマチュアが腕を競う従来の同人誌のイメージとは違い、少部数を逆手に取り、自由で肩肘張らない誌面作りを楽しむ姿が浮かび上がる。(海老沢類) 6月末に第4号が出たミニコミ誌「エクス・ポ」は、一目では雑誌と判別しにくい。表紙は封筒。誌面はA4サイズの16ページに限定し、印刷コストを抑えた。その中に、ルビと見まがいそうな小さな活字がびっしり詰まっている。 「能動的に読んでもらうために活字はぎりぎりまで小さくした。読みやすさばかり追い求めがちな現在の雑誌文化への問題提起でもある」と、編集長を務める批評家の佐々木敦さん(44)は説明する。 隔月刊で価格は1000円。約4000部を刷り、一部の書店やギャラリーなどでも販売している。気鋭の社会学者、鈴木謙介さん