「偶然は、強い意志がもたらす必然」 認知症研究の第一人者である柳澤勝彦(国立長寿医療研究センター)。当初「正直、何が新しいのか分からなかった」と言うが、田中たちと議論を重ねるうち、この未知のタンパク質が早期診断の鍵を握っているのではないかと考えるようになった。そして、柳澤は脳内で病気の異変が起きている人と、起きていない人の血液を分析することにした。すると、驚きの結果が出た。 異変が起きていない人の血液では、アミロイドβは未知のタンパク質より多かった。かたや、異変が起きている人では、その逆。アミロイドβは未知のタンパク質より少なかった。ふたつのタンパク質の比率に注目することにより、認知症を発症するリスクを診断できる可能性があることを突き止めた。 若き日、田中は化学薬品を誤って混ぜたことで、タンパク質の分析方法を発見。ノーベル賞を受賞した。そして今回、田中は「常識」を知らないまま研究に挑み、さ
![(3ページ目)「ノーベル賞がつらかった」田中耕一が初めて明かした16年間の“苦闘” | 文春オンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/96f5c86283c61760410060e8694029471193b523/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbunshun.jp%2Fmwimgs%2F3%2Fc%2F1200wm%2Fimg_3c5d6f6e7e3778a3a29bdda2fda7cae0171017.jpg)