藤原正彦の品格 ・・・勘違いと大風呂敷・・(本書の言葉より) 時代錯誤の数学者 藤原正彦氏のベストセラー「国家の品格」は、〇六年五月一一日現在「バカの壁」より58日早い190日で200万部を達成したそうだ。確かに一見、わかりやすい内容である。 藤原氏の国語教育に関する考え方などには同意できる部分が少なからずあった。しかし残念なことに、本書は数学者とは思えない杜撰な論理と浅薄な知識、アナクロニズムによって書かれた本であると云っても過言ではない。 まえがきの末尾に「品格なき筆者による品格ある国家論、という極めて珍しい書となりました」と書かれている。「品格なき筆者」とは藤原氏が謙遜の気持ちで書かれたのだろうが、決して謙遜されるには及ばない。まさにそのとおりだと思う。 「遺伝学のダーウィン」と述べるなど、信じられないような誤りもあるが、もっとも気になるのは本書に一貫した、論理の杜撰さと、