第65回全国小・中学校作文コンクールの中央最終審査会が行われ、各賞が決定しました。応募は3万5095点(小学校低学年4883点、高学年8081点、中学校2万2131点)。文部科学大臣賞3点を要約して紹介します。(敬称略) <2015年11月30日の読売新聞朝刊に掲載しました> <中学校> 「夢の跡」 静岡・静岡サレジオ中2年 高田愛弓(たかだ・あゆみ) 父が、逮捕された。 自宅には家宅捜索が入った。毎日「いってきます」と「ただいま」を繰り返す門扉は、マスコミ陣で埋め尽くされた。 2015年5月26日、夕刻のことである。 6人の警官が玄関先で卵のパックに収まっているかのように待機する中、母は親戚に電話をして、駅前のビジネスホテルを押さえてもらうと、祖母に連絡を取り、そこから叔母が私を迎えに行くように手筈(てはず)を整えた。 テレビドラマでしか観(み)たことがないようなことが自分の家で起こって
小女子ハ酒ノ肴也。 焼イテ美味、炒メテ美味 画図百鬼夜行――前篇・陽 其の日京極堂を訪れたのは、没になった原稿を読んで貰う為であった。 没になったといっても、記事の内容が悪かったというわけではなく、私が原稿を書いていた雑誌『m9』が休刊になったのだ。私は暮らしに窮した時に、内職としてカストリ雑誌に記事を書き、糊口を凌ぐことがあり、『m9』もそうしたカストリの一つだった。『m9』とは主に、社会、政治、文化、といった堅い主題を、若者に目に向けて貰おうと、軽い論調で書こうといった雑誌であったが、志半ばにして三号で休刊になってしまった。 このことで、編集者は何度も頭を下げてきたが、今回は原稿の内容に自信が無かった為、ほっとしたというのも事実である。 雑誌が休刊になれど、書いてしまった原稿は手元に残る。そこで私は今回の原稿――インターネット上の殺害予告を扱った記事を京極堂に読んで貰おうと考えたのだ。
ニュースを見ていた。犯人がいかにイカレた人間で、イカレたNET上でおかしな事を発言し、アニメやネットオタクは危ないだの、ナイフを規制しろだのと言っている。犯人の生い立ちや最近の言動なども紹介され、キチガイ青年だと言わんばかりに不安を煽る。 一通りのニュースを見て、一緒に見ていたお袋とカミさんがどちらともなく言った。「なんか別に、フツーの人っぽいね」「とんでもない人物のように言われているけど、殺したりした事を除けば、他はそこらへんにいる人と同じじゃない?」びっくりした。 実は、自分も同じように考えていた。自分はあの犯人とは今でこそ違うが、犯人と同じ年齢の頃は、考え方や言動などはほとんど同じだ(自分は今34歳)しかし、その思いをクチに出す事はしなかったが、自分を見てきたお袋やカミさんは同じ臭いを嗅ぎ取ったのかもしれない。 ワープア状態だったのも同じ、趣味嗜好もきっと同じ、派遣で全国転々としてた
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く