人間、直したいと思ってもなかなか直せない悪癖というのを、一つや二つ持っているものだろう。ぼくにもそうしたものがいくつかあるが、中でも深刻なのは「早飯」である。ぼくは早飯である。いつからそうなったのかは分からないが、気付いたら早飯になっていた。子供の時にはもう早飯だった。ご飯も給食もあっと言う間に食べ終わって食卓を駆け抜けていった。別段、兄弟が多くて早飯じゃないとたくさんご飯にありつけなかったという切実な問題があったわけではない。誰かに早飯を推奨されたこともない。ただ性格は限りなくせっかちだったので、ご飯を食べている時でも心はたいていその次のことに向いていたから、早く食べ終わってこの食卓を駆け抜けたいという気持ちが強かったのかも知れない。小学生の時は、給食後にやる野球のことで頭がいっぱいだった。食べ終わってから校庭の場所取りをするのだけれど、その役目はたいていぼくだった。誰に言われたわけでも