卵の価格下落を防ぐため、鶏の処分に国が奨励金を交付する農林水産省の制度の反動で、卵の価格が昨年の同時期と比べて五~二割も値上がりしていることが二十九日、分かった。五月以降、制度を利用する生産者が殺到して二カ月間で五百万羽以上が処分され、卵の出荷量が減少。夏の猛暑も卵の生産減少に追い打ちをかけ、価格上昇につながった。生産者寄りの政策と見込みの甘さが、家計に負担をかける結果となっている。 (山口哲人) この制度は二〇一一年度に始まった「成鶏更新・空舎延長事業」。鶏卵価格の下落が生産者の経営に影響することから、卵を産ませるための鶏(採卵鶏)を処分した生産者に奨励金を交付して、出荷量を減らす制度だ。制度を適用する価格は毎年度変わり、本年度は平均価格が一キロ当たり百五十九円を下回った場合に適用されることになっている。 今年は五月中旬~七月中旬に制度が発動。採卵鶏を一羽処分するごとに百五十~二百円の奨