国文学者・小西甚一さんの未完原稿、教え子ら刊行2009年9月30日15時2分 国文学者の小西甚一さん(2001年) 国文学者の小西甚一さん(1915〜2007)が大著『日本文藝(ぶんげい)史』の別巻として晩年に心血を注ぎながら、本にできなかった『日本文学原論』(笠間書院)が、教え子らの尽力で刊行された。日本文学研究の手法を原理的に詳述し、細分化が著しい国文学研究の動向に対する批判の書ともいえる。 『文藝史』全5巻は、記紀から三島由紀夫に至る日本文芸の流れを、同時代の世界文芸と関連づけながら精緻(せいち)に分析し、92年に完結した。その直後から『原論』の執筆を始め、ラテン語を学び直すなどした。しかし高齢と病気のために脱稿できなかった。 師事した久保木哲夫・都留文科大名誉教授らが遺族に調べてもらったところ、段ボール2箱分の未整理の遺稿やメモが見つかった。6人の教え子が読み解くと、小西さんが構想