天下泰平とされた江戸時代も、鉄砲産業はすたれなかった――。大阪府堺市堺区の鉄砲鍛冶(かじ)屋敷(井上家住宅)で見つかった2万点超の古文書を調査した市と関西大学が報告書を刊行した。江戸中期も多くの大名が鉄砲を購入し続け、政情不安の幕末には取引が増加したことが裏付けられた。 堺は戦国時代に日本一の鉄砲生産地となった。鉄砲鍛冶屋敷は、大坂夏の陣(1615年)での焼失後に再建された市内最古級の町家で、代々、井上関右衛門を襲名した鉄砲鍛冶の居宅兼作業場兼店舗だった。 2014年に屋内から大量の古文書が見つかり、市と関大が共同研究を開始。一定の成果がまとまったとして、このほど報告書としてまとめた。 最も注目された文書群が「萬…