50歳を過ぎたせいかどうか、元々しっかりしているとは言えなかった記憶力が怪しくなってきた。 つい先日も「はじめまして」と言いながら名刺を差し出すと、「以前お目にかかっていますよ」と笑われてしまった。仕事柄、一度会った人のことは忘れないように心掛けているのだが、これはまずい。 原稿を書いていても、途中で「同じことを前に書いたのではないか」「この逸話はすでに使ったはず」と気になってくる。しかも、いつ、どこに書いたのかをなかなか思い出せない。奥田英朗氏の小説集『空中ブランコ』に、同じことを書いてしまうのではないかと悩む女流作家が登場する。あれほどひどくはないが、似た心配をしてしまう。 題名でお分かりかと思うが、この原稿で書きたいのは、自社で利用する情報システムはできれば内製したほうがよい、ということだ。同じ主張を何度か書いた記憶がある。気になっているのは、次のような言い回しに関してである。 「ク