死亡者名義のままの農地がそのままに… いったい誰の土地なのか――。 土地所有者の居所や生死が判明しない、いわゆる土地の「所有者不明」問題が、日本各地で表面化している。2010年代に入り、マスメディアでも少しずつ取り上げられるようになったが、実は地域レベルでは必ずしも新しい問題ではない。 1990年代初頭には、森林所有者に占める不在村地主の割合が2割を超え、林業関係者の間では、過疎化・相続増加に伴う相続人把握の難しさが指摘されていた。農業では、死亡者名義のままの農地が、集約化や耕作放棄地対策の支障となるとして、長年問題になっていた。 2015年に鹿児島県が県単位で初めて行った調査によると、市町村の農地台帳、住民基本台帳、固定資産課税台帳の3つを照合した結果、各台帳間で名義人が一致せず、相続未登記が疑われる面積は5万9870ヘクタール、県内農地の38.2%を占めた。そのうち、農地所有者の死亡を