私は大学院で自然科学の学問を専攻している.現在修士課程の1年だ. 研究を続けたく思い,母にその旨を手紙で告げた. 私は出来の悪い子供だった.大学もやっとの思いで入った. 大学に合格したとき,母は我が事のように喜んでくれた. 研究のこともいつも応援してくれている. でも本当は,そろそろ社会に出て,社会の一員として働いてほしいと思っているに違いなかった. ちなみに,大学院進学以降は親の援助を殆ど受けていない.主に自分のバイトした金と貯金と奨学金で通っている. 博士課程に進みたい,そしてまだ社会に出れなくてごめんなさいと手紙に綴った. その返事が今日届いた. 母は,自分の人生なのだから,自分の目指す方向に行くのが一番良いと書いていた. 「でも」と手紙は続いていた. 「貴方は,浪人生活,大学生活,大学院生活と過ごしてきて この間世の中のことをあまり知らずに生きてきたはずです. 何かに打ち込むのは素