死亡者や行方不明の可能性がある人23人に年金が支給されていたことが判明した今回のサンプル調査。事態を重く見た長妻昭厚生労働相は今年度中にも再発防止策を講じる意向を示した。しかし、なぜ死者や所在不明者に年金が支払われ続けるのだろうか。 厚労省によると、年金受給者が死亡した場合は、役所と日本年金機構の両方に死亡届を出すことになっている。ただ、機構は住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)と照合しているため、役所に死亡届が出されれば、機構に届けが出ていなくても支給は自動的に止められる。 しかし、住基ネットとの照合を始めたのは平成18年。それ以前に死亡したケースでは、照合ができないため「悪意のある第三者が『現況届』を出せば年金を受け取ることは可能」(厚労省)だ。今回の死亡例も、11年12月に死亡していたが「現況届」は毎年出されていた。 施設入居者など、住民票と実際の居住地が異なる受給者の場合