スポーツの現場では当たり前のように”流れ”という言葉を使う。流れがきた、流れが来ない、など。統計を扱う人が聞けば、それはただの偏りに過ぎず最後は平均値に収束すると言われるかもしれないが、現場に立っているとどうもそうだとは言い難い”流れ”を確かに感じる。 敢えて言い切れば”流れ”とは集団心理の揺らぎのことである。組織の勝利の一端を担っているという緊張感と重圧、あいつがやれるなら俺だってという勇気。人間が環境に影響される様々な心のありようが身体の動きに影響を及ぼし、それが流れを生む。 前の選手がミスをする。俺が挽回しなければと次の選手が力む。力みは焦りを産み、無意識に普段とは違う行動を取らせ、ミスの確率をあげる。そうこうしているうちに流れが悪くなり、あれよあれよという間にチームが崩れていく。 一方で、予想外にいいプレーをする。チームが乗ってきて、いっちょ俺もやってやるかと勢いづく。俺がやってや