佐川一政を題材としたドキュメンタリー『Caniba』(#01)がヴェネチア国際映画祭Orizzonti部門で上映され、審査員特別賞を受賞した。さらには、トロント国際映画祭Wavelengths部門でも上映されるなど、先鋭的な作品を好む映画ファンの間で賛否両論の議論と話題を拡げつつある。『Caniba』とは、カニバリズム、すなわち人肉食を意味している。これは、パリ留学時代に凄惨な猟奇事件を起こした佐川一政の映画であるのだ。 佐川の名前は、現在の日本では既に忘れられつつあるかも知れない。1981年6月11日、パリ第3大学大学院博士課程に在籍していた彼は、同大学のオランダ人留学生ルネ・ハルデルベルトが自室を訪れた際、彼女を背後から銃で撃って殺害、屍姦した後にその遺体の一部を生のまま食べた。残りの遺体をスーツケースに詰め、ブーローニュの森の池に沈めようとした彼は、その異様な姿を奇異に感じた周囲の人