(英エコノミスト誌 2012年4月7日号) 「清潔な身体」vs「クリーンエネルギー」 日本に行ったことがある人なら誰でも知っているように、温泉での入浴には厳格なルールがある。湯船に浸かる前には身体を洗わなくてはならず、水着は禁止、そして刺青もタブーだ。しかし、温泉業界の影響力は湯船をはるかに超えて広がっている。 温泉の所有者たちは数十年間にわたって、莫大な潜在的クリーンエネルギー源である地熱の開発を封じ込めてきた。彼らは火山国の日本で熱した帯水層に手を加えたりしたら、温泉が枯渇し、汚染が進み、大切なくつろぎの空間が損なわれると主張する。 しかし、日本が原子力発電を失う瀬戸際にある中で、新たなエネルギー源に対する要望は抗し難くなっている。 原子炉20基分の地熱エネルギーが眠る国 東芝、三菱重工業、富士電機という日本企業3社で地熱タービンの世界市場の半分以上を支配しているにもかかわらず、日本自